サンゴ礁を守るための大胆なプロジェクトが話題に

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サンゴ礁を守るための大胆なプロジェクトが話題に

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大気中の温室効果ガスが増加することにより海洋の温暖化が引き起こされ、世界中のサンゴ礁が危機に瀕しています。オーストラリア海洋科学研究所(AIMS)が行った調査によると、「大気の温度を産業革命前の平均値より1.5℃高い状態で安定させることができたとしても、今後数十年間でサンゴの大量白化は進行していくことが予測される。深刻なのは、サンゴ礁の回復力が既に著しく損なわれている可能性があることだ。」と報告されました。

地球温暖化がグレートバリアリーフに与える影響を抑えこむため、オーストラリア政府は「サンゴ礁の復元と適応プログラム(RRAP)」の名のもとに研究開発を支援しています。オーストラリア政府は4月16日、2年間の実行可能性調査を経て、当初は約160あった支援プロジェクトが43に絞られたことを発表しました。
この43のプロジェクトの中にはかつてない新たな試みも含まれています。ごく小さな海塩結晶を空気中に噴霧し上空の雲に到達させて太陽の光をより反射させるというもの、小さなサンゴ礁域に霧を発生させたりすることでサンゴ礁へ当たる光を遮るというもの、耐熱性のあるサンゴ礁を人工繁殖させその幼生を拡散させるといった大規模で大胆な方法が含まれています。

実行可能性調査では実現するためのコストも計算されており、空気中に海塩結晶を噴霧するには年間1億5,800万ドルが必要であると推定されました。この結果は一見コストが高いように思われますが、このプロジェクトが導入されることにより、およそ60年間で107億ドルから数千億ドルの利益が得られる試算がなされています。種の保存という観点だけではなく、経済面でのメリットも非常に大きいとAIMSの戦略開発担当であるデビッド・ミード氏は述べました。AIMSの最高経営責任者であるポール・ハーディスティ博士は、「このプロジェクトを成功させるためには異なる規模、異なる分野で行われている施策を組み合わせて実行する必要があるだろう」と見解を述べました。

参考元 : The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2020/apr/16/brightening-clouds-and-coral-larvae-study-picks-best-great-barrier-reef-rescue-ideas