ニューサウスウェールズ州 フクロギツネとの接触で野兎病発症の疑い

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ニューサウスウェールズ州 フクロギツネとの接触で野兎病発症の疑い

  • シドニー
  • ニューサウスウェールズ州

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5月20日、ニューサウスウェールズ州保健局は3月初旬にシドニー北部で女性がフクロギツネに噛まれるなどの被害を受けたと発表。リンパ腺の腫れや疲労感、喉の痛みなどの症状を訴えていることから「野兎病」に感染した疑いがあるとして検査が進められています。

体長が35~55cmほどのフクロギツネはオーストラリア固有種の有袋類で、全身が灰色の体毛で覆われています。行動範囲は森林から市街地までと幅広く、通常は樹上で生活しますが餌を求めて地上に現れることも確認されています。
今回フクロギツネを媒介したと推測される「野兎病」はウサギやリスといった野生動物からイヌやネコといったペットまでも媒介となり、感染源はさまざまです。症状は悪寒や頭痛、発熱といった風邪に似た症状に始まり、リンパ節の腫れや皮膚紅斑も見られることがあります。なお、人間同士での感染はこれまで報告されていません。オーストラリアではフクロネズミを媒介して人間が野兎病に感染した例は過去に2件報告されており、どちらも2011年にタスマニア島でフクロネズミに接触したことが原因でした。

州保健局はオーストラリアに存在する野兎病の細菌は北米で見られるものよりも毒性が低く、同国では野兎病によって死亡者が出たことはないと発表。伝染病の専門医であるキーラ・グラスゴー氏は、「病気や怪我を負った野生動物を発見した場合は拾ったり救助したりせず、野生生物保護団体や獣医などの専門家へ連絡をお願いします」と述べ、むやみに野生動物に接触しないよう注意を呼び掛けています。

参考元 : SBS News
https://www.sbs.com.au/news/rare-scratch-infection-prompts-warning-not-to-touch-possums